弊社のレンタルオフィスを見学されたいという方の中には、シニア起業をされたいという方は珍しくはありません。長年勤続してきた会社や官公庁の仕事が来年の3月に定年になるので、シニア起業にチャレンジしたいという思いで来社されます。
定年退職してから、「さあ起業しよう」というよりも、事前の準備期間にしっかりと計画することがとても重要です。
定年後に起業する「シニア起業」とは?
年金だけで暮らせるのか。この問いは年々加速して、定年近い方の不安課題だといえるでしょう。
「人生100年時代」といわれる現代において、65歳を定年で100歳まで生きるとすると、定年後はじつに35年もあります。「長い老後を支えるには、公的年金だけでは頼りない」「まだまだ健康で気力もある60代に、第二の人生を送りたい」と考えるシニア層が、次々と起業しています。
定年後に起業するメリット
①老後の金銭的な不安が解消される
老後、「公的年金だけの生活では心もとない」と感じているなら、起業によって収入を増やすことで、不安を解消できます。
②社会とのつながりを持続させられる
定年後、社会とのつながりを失ったことからさみしさを感じ、うつ状態になってしまう人もいます。定年後も起業できたなら、仕事を通じて社会に貢献していることを常に実感できます。
③身体的、精神的な健康を保てる
自営業者は「体が資本」。常に健康で、頭もクリアでなければ、仕事はつとまりません。シニアから起業し、ずっと仕事を続けていれば、健康的な体と心をキープできます。
定年後に起業するデメリット
〇体力が減退する
現役のころと比べて、体力が徐々に減退していく恐れがあります。現役時代よりも、無理がきかなくなるでしょう。若いころには簡単にできたことが、シニアになると難しくなったり、体力が続かなくなったり等、こんなはずじゃないと思うことが多くなってくるのもシリア世代です。自分の身体にあった仕事量と時間調整が大切です。
〇失敗すると老後資金の目減りを実感する
若い世代では、失敗しても、もっと頑張ろうと自分自身を励ますことが出来ました。しかし、シニア起業の場合、負債がそのまま老後資金の目減りにつながってしまう恐れがあります。大きく賭けて大きく儲けようとしないで、リスクの少ない安全なビジネスに取り組むのが良いと思われます。
〇自営に向かない人は方向性を見失いやすい
組織の中で長年サラリーマンをやってきた方は、上司からの仕事の指示や定期的な給料が入らないことに戸惑う方も多いようです。
ビジネスがうまくいかなかったとき、方向性を見失いかねません。普段から事業について相談できる先輩社長の存在は大切です。
また、シニア起業仲間を増やしたりして、叱咤激励してくれる誰かを確保しておきましょう。
定年後に起業するために必要なこと
〇自分の強みは何か。
長年、組織の中で管理職をした方ですと、仕事の流れが既に出来上がっているため、部下の管理をすることが仕事であった方も多いと思います。
しかし、シニア起業は、まず一人で立ち上げるケースが多いと思います。自分自身は、何が得意であるのか、何か可能なのかを再検討する必要があります。
自分にとって興味のある分野で起業することは理想ですが、それが商品性があるのか、現代社会に必要とされるものなのかをじっくりと検証する必要があります。
事例として、官公庁に長く勤務した方は、その知識やノウハウの引き出しは多くても、それは一般人から見て商品価値があるかどうかを見誤る場合があるようです。
〇一定程度のパソコンスキルをつけておく
どんなジャンルでの起業であっても、一定のPCスキルは必要です。
管理職だった方は、すべて部下が資料作成をしてくれたりして、パソコンをそれほど使わなくて大丈夫だった方も多いと思います。シニア起業する場合には、部下もいなければ、手伝ってくれねアシスタントいないかもしれません。一通りのパソコン作業を出来るようにしておくことは必須です。
〇人脈を確保する
起業しても、顧客がいなければ事業は成り立ちません。なるべく現役世代のうちに、方向性を決めて、顧客になりうる人脈を確保しておきましょう。職場内や取引先に「定年になったら、この商品で起業します」とアピールしておけば、思わぬところから仕事が紹介される可能性もあります。
定年後にシニア起業するときの注意点
〇創業資金と運転資金、そして生活資金の確保
事業を始めるときの初期費用や月々にかかる経費をシミュレーションするのはもちろん大事ですが、老後の生活資金を算出しておくのも、同じくらい大事です。
〇使える助成金の下調べ
国や県、各市区町村がシニア起業に助成金や支援金を支給している場合があります。多くは期限付きのため、起業年度が近くなったら調べてみましょう。最寄りの商工会議所は、良い情報源となります。
起業をしたいと思ったその時から準備は始まります。
早いに越したことはありません。
まずは下記のことを洗い出してみましょう。
1. 何年何月に起業するのか。
2. 商品、サービスは何か。
3. 市場価格を調査し、適正価格を決める。
4. お客様はだれか、どこにいるか。
5. 開業資金、運転資金、生活資金は充分に用意出来るか。
6. 事務所は必要か。
7. どういう方法で商品を売るのか。
8. 見込み客、提携会社、取引会社をリスト化する。
9. 起業してその後、後継者をつくるか。
考えることは山ほどあります。準備をしつかりやっていきましょう。